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うめぞー、思案中

明日は歴史作家「うめぞー、執筆の合間に思案中」

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今年の藁蛇登場ノガミ祭は『野神祭』と書くことも多いようですが、恐らくは『農神祭』が正しいのではと、随分以前に県立民俗博物館の先生から聞いた記憶があるのですが、私は東日本で生まれ育ったため、この類の祭には全く無知です。
何せ静岡辺りでは、こんな祭、聞いた事がない……のは、私が無知なだけ(~_~;)?

奈良県内にはこの類の祭が各地で行われているそうですが、いくつかのバリエーションがあり、橿原市や田原本町、天理市などでは藁で大蛇を作って子供たちが担いで回り、その後に御神木となるような大きな木に巻きつけ、共に直会の食事をするという流れの御祭になるようです。
これも今では子供の数も減少しているので、かなり様相が変わって、縮小バージョンになっているとの事です。

蛇を担ぐのは男の子の役目です。橿原市上品寺町の『シャカシャカ祭』もノガミ祭の一つで、六月五日に行われます。
何でも昔々、この村では毎年長男に当たる男の子を大蛇に人身御供に出さなければならなかったそうです。
ある時に村を訪れた一人の若者がそれを聞き、ノガミ塚に住む大蛇に酒を飲ませて退治したので、それ以来大蛇の供養をするようになったとの伝承があるそうです。

祭の日には昼過ぎから地区の人たちが藁で五メートルほどの蛇を作りますが、ここの蛇は赤い舌があるのが特徴です。
午後四時からは、はっぴ姿の小学生の男の子達がこの蛇を担いで地区内を練りまわすのですが、今年は人数も少なく、小さな子供も多いせいか距離をかなり短くしたようです。

柄杓で蛇に水を飲ませています。ノガミ塚は本来、中和幹線よりも北にあったのですが、あの四車線の交通量の多い道を子供たちに渡らせるのも危険と、今では地区の集会所をスタートして町中を巡った後、集会所の裏にある大きな榎に蛇を巻きつけています。
何でも蛇を担げるのは男の子だけで、女の子は見ているだけ……お祭には良くあるパターンですね。

こちらでのもう一つの特徴が、このように蛇に水を飲ませる行為で、北と南で二度行われます。
本当ならば池のような水の溜まった場所があれば良いのですが、今では近鉄八木駅から近いために住宅地となってしまい、仕方なしにバケツに水を汲み、柄杓で蛇の口にかけてやっています。

蛇を御神木に引っ掛けます。

こうして御神木の榎の元にやって来た蛇は、大人に手渡されて高い枝に引っ掛けられ、今年一年の守り神となるのですが、地区の方の話では、まず一年は持たないのだとか……適当な所で外すのでしょうかね?

この蛇巻きは田原本町今里奈良市西九条町でも行われていて、こちらは無形民俗文化財に指定されていたと思います。
これももしかして、同じ日に行われたのかな、確か六月の第一日曜日と聞いていますので。
天理市には蛇ならぬムカデを藁で作って、神社に納めるノガミ祭があるはずです。

藁の蛇を巻きつける御神木は、一本木さんと呼ばれるようで、蛇がいなくても木をお祭の対象にする地区も多いようです。
同じ橿原市地黄町で五月五日に行われる『すすつけ祭』もノガミさんのお祭で、昼間に行われる子供たちの墨のつけ合いばかりがやたらに有名ですが、これが終わった後に当屋の家に集まり、皆で作った藁の蛇や絵馬やお供えを持って、明け方にノガミさんに御参りに行くのだそうです。
このノガミさんもかつては一本木だったと聞いた事があります。

地区の総代さんと木に巻きつけられた大蛇。一本木さんの祭りもつい十数年前までは、大和高田市広陵町にも残っていたようですが、今では地区の人たちも年をとり、祭りに参加する農家も殆どなくなり、御神木が枯れてしまった所もあるとかで、県などで記録に残したのを最後に耐えてしまった例も少なくないそうです。
大和高田市で行われていた祭りは、おんだの形式のようで、氏子の方々が農作業の奉納をした後に、境内で直会の食事を取ったとか。
広陵町には、高田川沿いの県道の真中に一本木跡の石碑が建てられていますが、ほんの数年前までは枯れてしまった木が残っていました。
ここを潰して道にしてしまうと神様に申し訳ないと、整備して石碑を建てたようです。

藁の蛇を伴うノガミ祭といえば、御所市蛇穴(さらぎ)の『汁かけ祭』も有名です。
これは五月五日でしたか、十数メートルの大蛇を担いで、昔は見に来た人達にワカメの味噌汁を実際にぶっ掛けたとか……さすがに今ではやらないそうですが(-_-;)
それにしても、おんだ祭にしてもノガミ祭にしても、奈良県内にはかなりユニークな祭があるものです。
こういう祭の話を聞くたびに、我ながら民俗行事の方にまるで暗い事を今更ながら実感するのですがσ(^◇^;)
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