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うめぞー、思案中

明日は歴史作家「うめぞー、執筆の合間に思案中」

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墳丘全景さても、既に一週間前の現地見学会です。
ちなみに本日は、明日香村にて橿原考古学研究所の現地説明会がございましたが、これはまた記事を改めまして。

この島状の墳丘が何処かと申しますと、堺市の百舌鳥古墳群に所属する『土師ニサンザイ古墳』です。

北側の造出しで検出した埴輪列つい、『上石津ミサンザイ古墳(宮内庁指定履中天皇陵・百舌鳥陵山古墳)』と間違えてしまいますが、こちらは宮内庁が『東百舌鳥陵墓参考地』として管理している前方後円墳です。
江戸時代には反正天皇陵と言われていたようですが、現在は三国ヶ丘にある『田出井山古墳』にその座を奪われまして、陵墓参考地になっています。

前方部側から見ての第一印象、後円部が見えないくらい前方部が広い、つまり大型前方後円墳としてはかなり新しい訳で、五世紀の末くらいになるのかも知れません。
そして横に回ってみると、前方部と後円部の高さが殆ど変わらないので、やはり新しい部類に入る事が良く分かります。

造出し裾部に開けたトレンチさて、中期古墳の調査というと、出て来る遺物は埴輪と拭き石……という訳で、こちらも例に漏れません。
上の画像は北側に設けられた造出しで見つかった埴輪列の基底部分と、須恵器の大甕の破片です。
宮内庁の書陵部の調査によると、この調査区では小型丸底壷(普通のサイズよりかなり小さいです)やミニチュアの鏡形らしき土製品も出土しているそうです。
そしてこの画像は造出しの裾の様子、滑り落ちた拭き石や埴輪片が見られます。

後円部の一段目テラスところでこの古墳、現在南側には造出しが殆ど見えませんが、航空測量図によりますと、小さな三角形の出っ張りがあるので、恐らくは左右対称に有ってしかるべきなのだと思われます。

こちらの画像は後円部の北側、一段目のテラス(平坦部)から二段目の斜面裾にかけて開けた調査区です。
手前には五本分の埴輪列、奥の斜面には拭き石が出ています。
この間隔で埴輪が並ぶとしたら、一段目のテラスだけで2800本は並ぶのだそうで、二段目や三段目、造出しにも並べられているとしたら、6000本は越えるだろうとの事でした。
参考までに申しますと、こちらは300メートル近い大型古墳ですので、前方部も後円部も三段に造られています。

これらの埴輪は既に窯で焼かれていて、中には須恵器化している物も見られますので、そこの面から見ても比較的新しい古墳である事が分かります。

埴輪列と一段目の斜面ここは後円部の東側、墳丘の中軸線上に設けた調査区で、一段目のテラスから墳丘の裾部までを調査しています。
写っているのは埴輪列と斜面の上部のみですが、濠内に開けたトレンチでは裾を検出しまして、従来推測されていた位置よりも5メートルは裾の位置が外になる事が分かりました。
前方部でも同様だとすると、290メートルとされた全長が10メートル程度伸びる事になりますので、300メートルを越える可能性も出てきます。
そして見るからに広い周濠が現在も見られますが、この外側にも堤を挟んでもう一重の周濠が調査で見つかっているので、東西は485メートル、南北は490メートルにもなるようです。
何せこの古墳、前方部がおっそろしく広い……昔の測量図では224メートルもあるそうですから。

この時代に古市古墳群ではなく百舌鳥古墳群に、これだけ大きな墳墓を築いたのは果たして誰なのか、基礎知識を忘れているのでイマイチ予測がつかないのが、何とも情けない状況ですが、久々に見る大王墓級の古墳にはやはり圧倒されるだけの物がありました。
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