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うめぞー、思案中

明日は歴史作家「うめぞー、執筆の合間に思案中」

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まなざしの変容 奈良から世界を変える』というテーマで、奈良国立博物館と県立大学が合同講演会を博物館で行ってくれまして、本日、イソイソと出かけて参りました。
何でもこの合同講演会、酒の席で発案されて計画したとかで、果たしてどうなりますやらと主催者がお笑いネタ(?)にしておられました……まぁ、何とかなるでしょう(^_^;)

今日のタイトルは『立ち上がる記憶
最初の講演は、奈良県立大学の井原緑氏の『奈良公園に佇む
このテーマの切欠は、近鉄奈良駅の近くで
「奈良公園はどこですか」と観光客の方に聞かれた事だそうです。

井原先生も私と同じように、興福寺や春日大社、東大寺などの境内と周囲の春日野や飛火野などの緑地、若草山や三笠山辺りを含む地域を公園の範囲だと、単純に考えていたそうです。
しかし調べてみると、県営奈良公園という規定で見ますと、寺社境内や博物館の範囲は含まれず、大方は春日野原始林などの山林から構成されるようです。
一方、名勝奈良公園となりますと、寺社の境内と、それをつないでいる周辺の緑地などとなるようです。

そもそも最初に奈良公園として公に認められたのは、廃仏毀釈の嵐の中で存亡の危機にあった興福寺の境内なのだそうで、明治十三年の事です。
ここに奈良町の人々の声が加わり、周囲の寺社境内のみならず緑地も公営化し、本来の地形に手を加えずに公園として申請して今日に至るのだそうです。

都市公園でもあり、歴史公園でもあり、自然公園でもある、多に例を見ない多元的な存在としての奈良公園は、神域の原始林の巨樹をはじめ、春日の御神鹿らによって保たれる芝地の草にまで歴史の宿る場所と言えるのでしょう。

奈良博の学芸部長の西山厚氏の公演は『大仏に逢う
龍松院公慶上人による、元禄の大仏復興についてのお話でした。
この内容は、何年か前に博物館の特別展でも行いましたので、割合に理解はしやすかったです。

鎌倉復興の大勧進、俊乗坊重源に比べると、割合に知られていない公慶上人ですが、活動は重源上人以上といっても過言ではないでしょう。
松永久秀の南都襲撃以来、百年近く放って置かれた大仏と大仏殿の復興を何もない所から立ち上げた人です。
江戸復興は五代将軍徳川綱吉桂昌院だと考えがちですが、幕府方が資金援助をしたのは大仏殿のみで、大仏そのものは公慶上人をリーダーにした南都の僧侶らの勧進によるものです。

奈良という場所には東大寺を始めとした歴史や人々が支えて伝えていった土地や場所、記憶が宿っています。
近代都市やテーマパークのように、歴史も記憶もリセットして築かれた場所というのは、どこか不安定で気分も落ち着かないものなのでしょう。
歴史と言えば堅苦しいと敬遠されても、土地に宿る記憶は人々の遺伝子のどこかに刻まれた記憶とリンクして、何かを常に訴えかけようとするものです。

1200年前、奈良は都でなくなった事により、古い記憶を残しているのかもしれません。
都は常に最先端の土地、千年の都の地位を築いた京都は、逆に平安の昔を忘れて、応仁の乱以降、大政奉還するまでの江戸の文化を残す町として存在しています。
そして江戸改め東京は、現在進行形の不安定さで常に変化をしています。
土地の記憶、人の記憶、他所がなくしてしまったものを今も残すこの奈良という場所が、外に向けて訴えてゆくものは絶対にあるはずです。

とまあ、こんな内容でしたか(~_~;)
西山部長いわく、「二十一世紀は奈良の時代」だそうですから、皆様、観光・歴史都市の奈良にぜひ注目していて下さいとの事でした。
大仏と鹿だけじゃないのよ……うちじゃ、ヘンなものばっかり紹介してるけどねσ(^◇^;)
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